内気功の副作用(気功偏差)について~⑤邪気とは何か?

邪気とは何か?

治療や施術(マッサージや美容なども含む)に携わっている方から”患者さんの邪気をもらってしまう”という相談を受ける事があります。
よくあるケースが、うつ病をはじめとする精神疾患の患者さん、がんの患者さん(特に抗がん剤治療中)寝たきり老人などを施術すると自分自身も調子が悪くなってしまうという現象です。

また、治療や施術に携わっていなくても、日常生活で邪気を受ける、念を受けるという方もいます。

このような現象も、よく考えてみると不可解な部分があります。

・対象が見るからに調子が悪い人に限られている事

例えば、がんの患者さんは、抗がん剤治療を受けている場合に副作用で大変な状態になっている事が多く、治療をやっていなければ末期がんでさえ元気で健康に見える方も多くいます。

そのような、重篤な病気が隠れていながら見た目が元気な方から”邪気を受ける”という話はほとんど聞きません。同様に、今は元気に見えるが心臓発作委や脳梗塞、脳内出血を起こす直前の方から”邪気を受ける”という話もありません。

よくあるのは、上述したように
・うつ病などの精神疾患
・がん患者
・亡くなる時期が近い老人
の治療・施術で自分自身の体調が悪くなる方が多いようです。

逆に、

・脳障害を持ったお子さんを治療・施術していたら、自分の脳にも不調が出た
・膝が痛い人ばかりを治療・施術していたら、自分の膝も変形した
・脳卒中の後遺症のリハビリ施設で働いている職員は脳卒中になりやすい
・本人が言わなければわからない、てんかんを持っている患者さんの施術で、自分の調子が悪くなる
という事はないようです。

精神科の医師がうつ病になりやすい、または、がんセンターの医師が、がんになりやすいという話も聞いた事はありますが、正確な統計データではないことと、うつ病、がんなど羅漢率が高い病気においてそのような事が言われます。

このような事から、”邪気を受ける”と自己暗示的になってしまっている可能性も高いのではないかと考えています。
“邪気を受ける”という事が、実感を伴ったものであり、決して気のせいではない、という事は私も施術を始めたばかりの頃に同様の経験をしているので理解できます。
しかし、私が20代の頃に参加していた講習会、研究会などを通して出会った先生方の中には、40年~60年近いキャリアがある方もいました。特に鍼の先生などは、内臓疾患や、がん、精神疾患なども対象としているため、毎日重い病気の患者さんと接している事になります。

そのような先生方は、”邪気を受ける”と言う事はほとんどありません。

“邪気を受ける”という方は、私が見る限りでは、根底に苦手意識がある方や、逆に関心が強く、対象に入り込み過ぎる方が多いように感じます。

やはり、”邪気とは何なのか?”、という事を深く理解することと、自分の意識の持ち方を変える事で、かなり影響を少なくする事ができると思います。

■ 邪気とは何か?
・邪気は物質ではない
気の世界は科学的な計測ができない世界なので、経験からの私なりの推測になりますが、外気功や鍼などの東洋医学の施術は”場”を通じて、より深い情報を得て、修正を行っているものと考えています。

例えば、患者さんの身体に手をかざして、嫌な感じや重い感じを感覚的に捉えて、悪い部分を当てる事は、感覚が鋭い治療家・施術者であれば、それほど難しい事ではないでしょう。

この場合、”邪気”という物質が自分の手に入っているのではなく、問題がある箇所の情報を”邪気”として
キャッチしていると考えています。
“気”そのものを眼では見えない小さな物質や、量子力学を持ち出して素粒子のようなエネルギーに捉える方が多いのですが、それで”気”の現象を全て説明するには無理があるような気がします。
患者さんの悪い部分に手をかざして”嫌な感じがする”というのも、情報を受け取っているだけに過ぎません。患者さんの中で偏りがある部分の情報を受け取っているだけであれば、それ以上のものにならなければ治療家・施術者が大きく体調を崩すという事はないでしょう。
問題は、患者さんから受け取った”偏り”の情報を、自分自身の身体に置き換えて増幅させてしまうところにあります。
どの職業でもそうだと思いますが、料理人は味覚が鋭くなり、音楽家は聴覚が鋭くなります。幼い頃の教育で絶対音感がある方は、かえって日常生活ではストレスになる事もあるという話を聞いた事がありますが、自分が関心を持っていたり、訓練をした部分の感覚は鋭くなるので、一般人よりも秀でる反面、わからなくてもいい事までわかってしまうという余計な苦労まで出てきます。
治療や施術で感じる”邪気”も、自分自身で増幅させなければ、上記のように他の専門職の方々が感じる不快感とさほど変わらないのではないでしょうか?

たまに比較的若い年齢で亡くなる先生がいると、”邪気をもらった”と言われますが、人気のある先生は働きすぎであったり、先天的な原因があったり、他の理由もいくらでも考えられます。一方で、何十年も治療や施術の世界で活躍する先生方もいるので、客観的に見ないと正確な理解ができません。

やはり、ここでも

・正しい理解
・許容範囲の拡大
という事が大切であり、必要以上に怖がりすぎない事が、結果的に自分の身を守る事になると考えています。