内気功の副作用(気功偏差)について~⑥解決方法

■ 解決方法について

本連載では、内気功の副作用(気功偏差)について書いてきました。副作用についての話なので、気功そのものにネガティブなイメージを持たれる方もいると思いますが、正しく行えば、もちろん心身共に良い影響を与えると思います。以下、私が発見した解決方法を書いていきたいと思います。

■ 心身共に、緊張と弛緩の両方が必要。
気功・鍼などの東洋医学や、波動医療などに共通している事ですが、”弛緩させる事”のみを考えて治療・施術をしている専門家がかなりの割合を占めています。

しかし、人間の心身には弛緩のみではなく、適度なストレスも必要です。

東洋医学や波動医療の現場では、

・カイロプラクターが開発したアプライド・キネシオロジー(以下、AK)
・大村恵昭博士が開発しO-リングテスト
・入江正先生(鍼灸師)が開発した入江フィンガーテスト
など、いずれも身体の反応を利用した診断方法がよく使われます。

それぞれ、

・肩の筋肉が強くなると改善ー弱くなると悪化(AK)
・指の力が強くなると改善ー弱くなると悪化(O-リングテスト)、
・指の滑りが良くなると改善ー悪くなると悪化(入江FT)
と、診断に用いる部位は違いますが、根本的には同じ考え方でしょう。

注:背景にある理論は、AKはカイロプラクティック、0-リングテストは西洋医学と電磁場、入江FTは東洋医学になるので、身体の反応を使って判断する点は同じですが、その先の診断技術はそれぞれの分野でのやり方となります。
私自身は、入江FTを2年間勉強しましたが、その際、たまたまO-リングテストの学会で有名な医師の先生(当時、大学病院の内科呼吸器科部長をされていました)と実習でペアを組んだ関係で、様々な事を教えて頂きました。個人的な主観ですが、O-リングテストのほうが、医師が多いため、診断が厳密であり、入江FTのほうが、理論も重要視されますが、直観的も重要視する先生が多かったような気がします。どちらが優れているというわけではなく、それぞれの利点があります。

いずれにせよ、これらの”気の流れ”や”場”の診断方法では、必ず
・筋力が強くなった
・指をこすりあわせた時の滑りが良くなった
などの反応で、”気の流れが良くなった”、”生体の場が良くなった”などと判断されます。

しかし、私が研究した結果では、”筋力が強くなったから気の流れが良くなった”という単純なものだけではなく、身体反応を使った診断方法には、更に奥がある事がわかってきました。

2004年頃だったと思いますが、フィンガーテストの研究を行っていた時に、

指の滑りが良くなる →悪くなる →良くなる

を波を打つように、繰り返すポイントがある

という事に気が付きました。

フィンガーテストは講習を受講にないと難しいので、専門知識がいらない例を挙げてみます。

例えば、呼吸に関しては、通常は、

・呼吸が楽になる

のが身体が良い状態になっているとされますが、

・呼吸が楽になる→重くなる

と、交互に反応が出るポイントがあります。

対象は何でもいいのですが、

例:椅子に座っている状態で背筋を伸ばし、背骨をイメージする。

・通常の気功指導のポイント

呼吸が楽になる姿勢をつくる
→副交感神経を刺激する

・私が発見したポイント

呼吸が楽になる →重くなる
を繰り返す姿勢をつくる
→→交感神経・副交感神経のバランスをとる

という違いになります。

注:実際は細かな注意点があります。

この”弛緩-緊張ポイント”を発見していらい、外気功の施術も、自己調整も全てこの基準を使って行っています。この方法に切り替えてから、10年以上が経ちますが、弛緩させるのみの、施術や自己調整と違い、終わった後の爽快感は軽減されるものの、より持続した効果が得られるようになりました。

また、この方法を取り入れてから偏差や邪気を受けるといった事も、ほとんど起きなくなりました。

測定して調べる事ができないため推測になりますが、通常の副交感神経のみを刺激する治療・施術や
自己調整と違い、交感神経、副交感神経の両方が活性化されてバランスが取れるようになっているのでは
ないかと思います。
例えば
・身体は休める、弛緩させるだけではなく、負荷をかける事も必要

・精神面では、人格を成長させるための困難も必要。
 そのうえでのリラックスが重要。

と言えるように、弛緩も過剰になれば有害になります。

“弛緩-緊張ポイント”の発見により、施術面では、毎週来ていただいていた、重度の疾患を抱えてる患者さんも、ほとんどが隔週に来院回数を減らすことができました。

私が出会った中では、治療家で、このようなポイントがある事を知っている人は一人もいませんでした。また、知人の関心を持って下さった鍼の先生に試してもらったところ、やはり、

・副作用が起きにくい
・治療効果がより持続する
との回答を得ました。

私は外気功の施術の経験から、弛緩と緊張の両方が大切な事を学びましたが、この理論には内気功の練功においても、役に立つと考えています。

注意点としては、上記の”背骨をイメージする”という例においても、背骨のラインなのか、骨なのか、脳硬膜なのか、の基準の取り方で”弛緩-緊張ポイント”が変わってきます。

カイロプラクティックなら骨の位置、オステオパシーなら脳硬膜、鍼や気功なら経絡、と、それぞれ体系化された理論があると思うので、ご自身が正確に理解している理論で診断を行う基準をはっきりしてから、気の流れの診断をしていただければ、治療・施術をする上での間違いや、自分自身で行う内気功での偏差からも解放されると考えています。

参考文献:
『図説 バイ・デジタル O-リングテストの実習』/ 大村恵昭著
『臨床東洋医学原論 入江FTによる診断と治療』/入江正 著